移住への道

 定年退職したので田舎に移住しました。

父の手帳

今日は父の日。
父の日なんて自分には関係ないといつも思っていました。


父は風邪をこじらせて、35才の若さで亡くなってしまいました。
私が3才になる前だったので何も覚えていません。
だけど小さい頃はあまり父の事は聞かなかった。
何となく湿っぽくなるのがイヤで一生懸命話をそらしていた。
そうしているうちに、誰も父の話をしてくれなくなった。
今さら母に聞いても、どうだったかなーとかもう忘れたとか…
兄も何一つ父について話してくれない、覚えてないと言う。
ウソだー小学1年だったはず、ひどい!😨母も兄もドライで昔を振り返らないタイプだ。
ふたりは、4人一緒の家族写真が一枚も無いことを気付いているだろうか?
父はカメラマン役だった。私たちの写真ばかりが残っている、ナンテコッタ…

私は父の手帳を持っている。
その日の出来事が小さな手帳に小さな字でびっしり書いてある。
読んでみると几帳面でいい人みたいだ。人の悪口なんて書いてない。
亡くなる前の4年分の手帳なので私や兄の事もいろいろ書いてある。
兄は幼稚園の時、スキップがうまく出来なくて劇でドイツの子の役を降ろされたとか…
私が猫を追い回して顔を引っ掛かれミカンを食べるときしみて泣く、かわいそうにとか。
しょうもないエピソードが書いてある。兄に厳しく、私に甘い父だった。
私は思い出がないので悲しくはない。しかし、心に小さな穴があいているようだ。
いつか、突然父の記憶がよみがえる事があるんだろうか。